お得意様の妹さんで、弊社には初めての打ち直しの注文です。 お手入れされるのは、側付の状態で掛ふとん3枚と1枚側付敷ふとん2枚です。 お客様の目の前で中綿を確認し仕分けし、グループごとに計量します。 この作業をしないと綿の量が分からず、綿の種類による加工法、使い方を決められません。 中綿を確認すると、綿100%特上クラスの掛1枚、化繊1割強上クラスの掛2枚、 化繊2割弱中クラス敷1枚、綿100%あまり良くないかなり古い敷1枚です。 仕分けて量ると、A側共5.4kg、B側共10.1kg、C側共7.2kg、D7kgで、 中綿の予想は、A4.8kg、B8.9kg、C6.7kg、D7kgです。 1貫目を綿10枚とした場合、A12枚、B22枚、C16枚半、D17枚の予想になります。 目安として、掛ふとん10〜11枚、敷ふとん17〜18枚、長さも加味し計算します。 綿の質を見て仕分けしたABCDは相対的な評価で、どの綿を何に使うかの識別用です。 私 良い綿34枚、あまり良くない綿33枚少々できると思います。 悪いほうの綿は、敷かざぶとんに使ったほうがよろしいかと。 一番悪い敷ふとんには、1.500円分テトロン混綿が理想です。 お客様 詳しく聞かれたことが無いので、分からないわ。 私 必ず必要なものとか、ご要望はありませんか? お客様 あまり重い掛は必要ないし、息子夫婦が来たとき使うものを作ろうかな。 私 息子さんとお嫁さんの身長はどれくらいですか? お客様 息子は176cm、嫁は170cmありません。 私 ふとんの長さは、身長プラス、最低30cmが目安です。 息子さん用は丈長210cm、お嫁さん用は普通寸法がいいですね。 最近では大きい人が増えてきて、220cmで作る人もいますよ。 お客様 打ち直しってそんなことも出来るのかって、ちょっとびっくり。 |
パターン1 私 全部敷ふとんにする場合、丈長2枚、普通寸2枚が使いやすいかもしれません。 綿の良し悪しに差があるので、いろいろな綿の使い方があります。 大きく分けて、良し悪しを混ぜない方法と、均等に入れる方法です。 混ぜない方法は2種類あり、息子さん夫婦用にAB、来客用にCDと、 CDをマット代わりに、目印として隅の綴じ糸の色を変えて作る方法です。 特別良い綿があるので、普段使うものを作るのもお勧めです。 お客様 良い綿を活かすには、どんな事が考えられますか? |
パターン2 私 普段ベットをお使いのようですね。 良い綿は、肌ふとんやベットパットとしての利用がお勧めです。 掛ふとんも、合がけ程度の厚さにすると、綿の良さを感じてもらえるかもしれません。 特に肌ふとんは一度お使いいただき、本当の綿の良さを肌で感じていただきたいです。 お客様 肌ふとん1枚使ってみようかな。どんな綿の使い方が考えられます? 私 Dにテトロン混綿すると全体の綿の量が69枚で、肌ふとんに4枚使うので残り65枚です。 肌ふとん1枚分を引いた残り65枚の綿を、ちょうど使い切るには掛3枚敷2枚できます。 |
パターン3 ベストチョイスのために、もし自分だったらどの様な選択をするか考えます。 私 肌ふとん1枚に、息子さん夫婦用のふとんが必要みたいですね。 同じ料金で良い綿は良いふとんに、悪い綿はあまり良いふとんになりません。 悪い綿を使わずに必要なものを作るのにひとつ提案があります。 肌ふとん1、丈長合がけ・丈長敷各1、合がけ・敷各1でどうでしょうか? お客様 綿がだいぶ残るんじゃありません? 私 そこで逆転の発想です。再利用とはいえ、100年以上前のD綿を使い続けるのは得策とはいえません。 肌ふとん1、丈長合がけ・丈長敷各1、合がけ・敷各1で、54枚の綿が必要です。 ABCで50枚半の綿ができる見込みですので、4枚程度の足し綿でD綿を使う必要がありません。 Dの打ち直しにテトロン混綿で、5.200円程度かかりますが、足し綿代は3.570円でお安くなります。 肌ふとんをやめて、息子さん夫婦用2組全部入れもできます。 お客様 お勧めの組合せでで使いがってよさそうですね。 丁寧に説明いただいたんで、一押しの肌ふとんも作ります。 私 ありがとうございます。 |
打ち直しは3パターン出来ますが、今回の綿の量だと全体で3.000円くらいしか違わないので、 一番良い組合せで、ゴミを落として殺菌乾燥するやり方にしました。 足し綿は、薄物用に280gで仕上げたアッサム4枚分を合がけに均等に振り分けることにしました。 生地は、見やすい大きさにカットして持ち歩いており、常時100種類以上は在庫してます。 肌ふとんはm1.200円、その他はm700円のペアで選んでいただき、ふとん5枚注文いただきました。 見積は、打ち直し10.200円+仕立13.100円+生地17.620円+足し綿3.400円+消費税=46.536円 実際は、側を剥いで計量したところ、100g綿が多かったので、200円ほど安くなりました。 出したふとんをそのまま打ち直しし、掛3敷2を選んでもらった生地で作ると、49.056円になります。 どの綿が何に入ったかも分かりません。設備の整った自社工場があると、注文のとり方も違います。 注文は、工場用と仕立用の2枚の荷札に分けて書きます。 工場用は、何を作りどの綿をどの様に使い、足し綿や残り綿など、綿の使い方すべての情報が書かれています。 仕立用は、生地、色、寸法、形状、裏地、厚さ、綿の使い方の情報が書かれており、 工場用の荷札と照らし合わせて、個別に再度指定の厚さになるよう量りなおし、仕立てます。 すべての工程で、ふとんをよく理解した職人が携わり、手間を惜しまず取り組んでいます。 |
注文例 2 Top
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自社工場・寝具製造国家検定1級技能士・最高品質のインド綿製綿・打ち直し、すべての工程で一流の職人が携わりオーダーできます。トップ営業ですので、打ち直しにおいてもきめ細やかな注文がいただけます。水や化学物質を一切使わず、綿をわずかな電気料だけで殺菌乾燥し、95%リユースできるふとんの打ち直しは、これからの時代に適したシステムです。
注文のとり方、工場の機械設備、打ち直しの技術があれば、作るものに合わせ必要な量必要な厚さに調節でき、1件分の綿でも、綿の質によって仕分けして打ち直したり、個別に混綿したりも可能です。つまり、注文時に綿を仕分けし重さを計り作るものを決めれば、どの綿をどんな厚さで打ち直し、どの側に入れるか相談できます。その時点で足し綿や残り綿の予想もつきますので、見積りが取れます。工場を持たない専門店が多い中で、お客様がふとんの打ち直しについて正しく理解していただくことで、大量に不要な足し綿をする詐欺まがい商法や、打ち直しと言って、古綿入りの既製品を届ける業者の、見極めをしていただければ幸いです。